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西村雅史公認会計士税理士事務所 > ブログ > (税務相談)社内飲食費 交際費と会議費の区分方法
法人税2020.10.13

(税務相談)社内飲食費 交際費と会議費の区分方法

(税務相談)社内飲食費 交際費と会議費の区分方法
A部長
A部長

弊社は、各々の部門からの申請に基づき、交際費か会議費かを処理しています。社外飲食費については、一人あたり@5,000円以下の場合は会議費として周知ができていますが、一方で社内飲食費については、部門により5,000円以下、3,000円以下であれば会議費として申請できる等、社内でバラつきがあります。改めて正しい判断基準を教えてもらえますでしょうか。

社内飲食費は、一人当たり5,000円以下の規定は使えない

社外飲食費で一人当たり@5,000円以下であれば、会議費(損金不算入とはならならい)という考え方は一般的にも周知されていますが、一方、社内飲食費について、誤りが散見されるのは、社外飲食費と同様に一人当たり@5,000円以下かどうかで判断してしまっているケースです。

租法第61条の4④二の適用を受けて、措法令第37条の5①において、一人当たりの飲食費が5,000円以下であれば損金不算入とならないというように規定しています。ここで注意しなくてはならない点は、租法第61条の4④の()書にて、役員・従業員に対して支出するものを除く、つまり社内飲食費は、一人当たり5,000円以下の規定は適用できないということになります

租税特別措置法第61条の4  交際費等の損金不算入

4 第1項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第1項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第2条第15号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第2号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。

  • 一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
  • 二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
  • 三 前2号に掲げる費用のほか政令で定める費用

措法令第37条の5  交際費等の範囲

1 法第61条の4第4項第2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項に規定する飲食費として支出する金額を当該飲食費に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額とし、同号に規定する政令で定める金額は、5000円とする

2 法第61条の4第4項第3号に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。

  • 一 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
  • 二 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
  • 三 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

社内飲食費の判断基準は?

社内飲食費については、条文では(措令第37条の5 二)、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」しか判断基準がありません

つまり、社内飲食費を会議費とするには、会議性があることが大前提で、またその金額自体も多額にならない必要があります

社内でルール化するためには?

ここで、判断基準が金額ではないことから社内でルール化をするのは難しいですが、例えば下記のような基準を設け、全ての要素を満たす場合にのみ会議費とするような運用が考えられます。

・会議のための支出であることを申請書で記載してもらう(税務調査の疎明資料とする

・酒類が提供される場所は基本的にNGとする。

・昼食の程度を超えないことを義務付ける

補足 社外飲食費で一人当たり5,000円を超える場合

社外飲食費でも一人あたり5,000円を超える場合には、社内飲食費と同じ条文で判断することとなります。つまり「会議性があること」、「通常要する費用であること」で判断します。社内飲食で5,000円を超えるようなケースは想定できませんが、社外であれば、非常に重要な会議であったり、著名な方であるためホテルの個室等を使用するため、酒類が供されずとも5,000円を超えてしまうケースはあり得ると思います。その場合には一人あたり5,000円を超える場合においても、会議費として処理が可能です

・交際費等(飲食費)に関するQ&A (Q12)(会議費等との関係)抜粋

従来から交際費等に該当しないこととされている会議費等(会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用など)については、1人当たり 5,000 円超のものであっても、その費用が通常要する費用として認められるものである限りにおいて、交際費等に該当しないものとされます

参考条文

・交際費等(飲食費)に関するQ&A(平成 18 年5月 国税庁)

接待飲食費に関するFAQ(平成 26年4月 国税庁)

措法61条の4 交際費等の損金不算入

措置法令37条の5  交際費等の範囲

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において行ってください。

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