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所得税2020.10.13

(税務相談)現物給与課税? 社長の英会話スクール代

(税務相談)現物給与課税? 社長の英会話スクール代

目次

A部長
A部長

弊社は最近海外の取引先も順調に増えてきており、行く行くは海外に拠点を設けて、世界展開を目指していきたいと考えております。そこで、今後取引先との円滑なコミュニケーションのためにも、弊社社長が通う英会話スクール代を弊社で契約する予定です。一つ気になりますのは、弊社で負担している者は現在のところ社長のみであり、英会話スクール代も30万円と安くはない点です。この点、税務上のリスク等ございましたら教えて頂けますでしょうか。

 

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。

要件の確認

今回のケースでは、社長が受講する英会話学校の受講料を会社が負担しているため、会社から社長には経済的な利益供与があると言えます。問題は、こちらが所税法上、給与として課税の対象となるかどうかになります。

根拠としては、所得税法基本通達36-29の2になります。この規定では「業務遂行上の必要性」、「適正な金額」のどちらの要件も満たす場合には、給与として課税されない取り扱いとなっております。

当てはめ

最近海外の取引先も順調に増えてきているという事実があり、今後も海外拠点を設ける予定もあり、今後さらに英語を必要とする機会は増えていくものと推察されますので、業務遂行上の必要性という要件は満たすと考えられます。

また、「適正な金額」かどうかは、絶対的な金額でみれば30万円は少額ではありませんが、英会話スクールの受講料であれば通常発生する範囲内の金額感と考えられるため、こちらも要件を満たすと考えらます。

最後に、ご質問に社長一人だけというお話がございましたが、規定上、他の従業員等についても受講させるように等の公平性を求める取扱いはないため(そもそも福利厚生的なものでもないため)、業務の必要性を説明できれば問題ないでしょう。ただし、受講していない従業員に金銭を支給する場合には、受講料も給与課税の対象となります。

以上から、ご質問の英会話スクールの受講料は、給与ではなく、教育研修費として取り扱うこととなります。

参考条文

所得税法 第36条  収入金額

その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。

所得税基本通達 36-15  経済的利益

所得税基本通達 36-29の2  課税しない経済的利益……使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品

使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。

 

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