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(税務相談)法人税 ブランディング費用に係る取扱い

目次

先日、弊社の企業ブランディングに関してコンサルティングを受けました。ブランディングの作業の中の一環として、ホームページの更新やロゴの作成も委託しました。内訳は以下のとおりですが、この場合の税務上の取り扱いを教えてください。
・企業ブランディングの企画、コンセプト設計:5,000,000円
・ロゴ作成:500,000円
・自社ホームページの更新:300,000円
※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。
ブランディング費用
今回、会社が支出したブランディング費用は、いわゆるコーポレート・アイデンティティの一環としての費用であり、その効果は一年以上あるものと考えられますから、税務上の繰延資産に該当します(法法第2条24号)。また繰延資産のうち、今回の費用は、開発費の定義のうち、新たな経営組織の採用という性質を有するものと言えます(法令14条1項3号)。従いまして、その支出時にその全額を償却することができます(法令64条1項1号)。
コーポレート・アイデンティティ(英: corporate identity 略称: CI)は、企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略のひとつ
Wikipedia
法人税法第2条 定義
二十四 繰延資産 法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
法人税法施行令 第14条 繰延資産の範囲
法第2条第24号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
三 開発費(新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用をいう。)
法人税法施行令 第64条 繰延資産の償却限度額
法第32条第1項(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる繰延資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 第14条第1項第1号から第5号まで(繰延資産の範囲)に掲げる繰延資産 その繰延資産の額
ロゴ作成
こちらは、商標権として登録するか否かにより処理が異なります。
・商標権として登録しない場合
こちらも1年を超えて使用するものと通常は考えらえますので、上記ブランディング費用と同じく開発費として支出時に全額償却が可能です。
・商標権として登録する場合
こちらは無形固定資産として10年間の定額法により償却します。
自社ホームページの更新作業
企業ブランディングの策定に伴う自社のホームページの更新作業ですので、まさにPRとして費用の性質を有していると考えられますので、支出時の損金(広告宣伝費)として取り扱います。
【参考】ホームページの制作費用について(国税庁Q&A)~26年3月
(Q1)
インターネット上に広告宣伝用のホームページを開設しました。その制作のために業者に委託した費用は、広告宣伝費等として一時の損金にするのでしょうか。それとも、繰延資産として償却するのでしょうか。
(A1)
通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。
ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。
また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。