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西村雅史公認会計士税理士事務所 > ブログ > (税務相談)未払賞与の社会保険料の損金算入時期について
法人税2020.11.26

(税務相談)未払賞与の社会保険料の損金算入時期について

(税務相談)未払賞与の社会保険料の損金算入時期について

目次

A部長
A部長

弊社は3月決算会社で、期末に従業員に対する決算賞与を未払計上し、4月10日に支給することにしています。当該未払賞与は各人に支給額を通知することにより損金算入するための要件を満たしていますが、未払賞与に係る社会保険料の会社負担分は損金に算入することはできますでしょうか。

 

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。

 

債務確定基準

税務上は、その債務が確定しているかにより、損金処理の可否が決まるが、その判断基準としては下記の通達に沿って個別具体的に判断する必要があります

法基通2-2-12  債務の確定の判定

法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。

(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。

(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

社会保険料の損金算入の時期

法基通9-3-2  社会保険料の損金算入の時期

法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる

(1) 健康保険法第155条《保険料》又は厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料

(2) 旧効力厚生年金保険法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金(同条第5項《設立事業所の減少に係る掛金の一括徴収》又は第6項《解散時の掛金の一括徴収》の規定により徴収される掛金を除く。)又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金(注) 同法第138条第5項又は第6項の規定により徴収される掛金については、納付義務の確定した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

保険料の納付はいつ確定?

上記2つの通達から分かるように、期末日までに「負担すべき部分の金額」が判明していること=債務が確定しているが未払社会保険料の損金算入の考慮すべき判断基準となります。

ここで、法人が負担する社会保険料は、被保険者が月末において在籍している場合にのみ保険料を翌月末日までに納付することとなります。逆にいえば、被保険者が4月中において退職した場合には、例え賞与が支給されていたとしても、4月末日には在籍していないため、賞与に係る社会保険料納付する義務がないということになります

結論

以上から、未払賞与に対する社会保険料の債務の確定時期は、賞与の支給日である4月末日となり、3月末日においては債務が確定しているとはいえないため、損金に算入することはできません

 

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