BLOGブログ
【まとめ】中小法人、中小企業者の違いについて

目次
本日は、同じような名称で、また定義も重複している部分もあるため、その違いが非常に覚えにくい「中小法人」と「中小企業者」について整理して紹介します。
※今回は普通法人を対象としています。そのため一般社団法人や法人課税信託等に関する記載は省略しています。
※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。
中小法人の定義
法人税法第66条2項、6項2号において、中小法人の内容が定義されております。
【定義】
以下を除く資本金の額が1億円以下である法人
・大法人(資本金の額が5億円以上である法人)との間に完全支配関係がある法人
・グループ内の複数の大法人との間に完全支配関係がある法人
【ポイント】
・その判定会社で1億円以下というのは、中小法人と中小企業者どちらも同じとなりますが、親会社の保有割合・資本金の額に違いがあります。
・中小法人の定義のほうが簡単ですので、中小法人の定義をまず覚えて、中小企業者の定義を比較しながら覚えると整理がしやすいです。
・中小法人は、親会社が「5億円以上」の資本金、「完全支配関係」の保有割合という2つのキーワードで整理できます。
【適用される主な特例】
・中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)
・貸倒引当金の特例(措法57の9①)
・交際費の損金不算入制度(措法61の4②)
・欠損金の繰戻還付制度(措法66の12①)
中小企業者の定義
租税特別措置法第42条の4第8項7号、同施行令第27条の4 第12号において、中小企業者の内容が定義されております。
【定義】
以下を除く資本金の額が一億円以下の法人
株式の2分の1以上を同一の大規模法人(資本金の額が1億円を超える法人、又は以下の法人)に所有されている法人
・大法人(資本金の額が5億円以上である法人)との間に完全支配関係がある法人
・グループ内の複数の大法人との間に完全支配関係がある法人
その発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人
【ポイント】
中小法人との違いを確認します。
・親会社が「1億円超」の資本金、「2分の1以上」の保有割合という2つのキーワードは、中小法人と異なる定義と整理できます。
・中小法人と同様に資本金の額が5億円以上というキーワードが出てきますが、意味合いは全く異なります。親会社の更に親会社(判定会社は、この場合孫会社)が「5億円以上」の資本金、「完全支配関係」の保有割合にある場合には、例え孫会社の親会社(最上位の親会社からすると子会社)が資本金1億円超でなかった場合にも、みなし大企業とみなされ、中小企業とはみなされません。
<図>

【適用される主な特例】
・研究開発税制(措令42の4⑧七、措令27の4⑫)
・中小企業投資促進税制(措法42の6①、措令27の6①)
・少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例((措法42の4、53、67の5、措令27の4、39の28)
・給与等の引上げ及び設備投資等を行った場合等の税額控除(中小企業者等の特例)(措法42の4、42の12、42の12の5、68の15の6、措令27の4、27の12の5)