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印紙税2020.11.23

印紙税の節約術まとめ(電子文書 前編)

印紙税の節約術まとめ(電子文書 前編)

今話題の電子文書に関して、本日は印紙税の観点からご紹介していきます。前編では、概要を、後編では具体的な電子文書の種類ごとにご紹介していきます。それでは早速見ていきましょう!

電子文書は不課税 

 まず結論から、現時点の印紙税法では、紙媒体以外で作成された文書は、すべて印紙税は不課税となります。つまり、PDF等の電子データ(電磁的記録)で作成された電子領収書、電子契約、電子定款などの電子文書は紙媒体で作成されていないので、内容問わずに印紙税はかかりません。 

このことは参議院質疑でも「電磁的記録により作成されたものについて課税されない」と答弁されており、また、国税庁でも電磁的記録であれば現物を交付したとは言えず、課税文書を作成したことにはならないので印紙税の課税原因は発生しない」という旨の見解があります。ペーパーレス化の普及が著しい昨今見直される可能性もありますが、現時点では電子文書を活用した電子取引が最も有効な経費削減策の一つと考えます。 

[参考]質問主意書第162回国会(常会)答弁書(参議院)

[参考]請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(国税庁) 

[参考]コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い 問2(国税庁) 

根拠条文は?

印紙税法の条文解釈については、電子文書など「紙媒体以外で作成された文書が不課税」と明記された規定はないのですが、まず印紙税法第2条において「文書の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある」とあり、課税文書の「作成」行為が印紙税の課税根拠にあると解釈できます。 

 この「作成」について、印紙税法基本通達第44条によると、「法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。」とあります。つまり、あくまで用紙に文章を記入して交付することが文書の作成行為に該当するため、そもそも用紙ではない電子文書は不課税という筋書きが成り立つこととなります。用紙「等」という表現が曖昧ですが、先に紹介した政府と国税庁の見解があるためこの解釈で問題ありません。また、交付も電子メールやファックスで送信した場合、実際に現物を交付したことにはならいため印紙税の課税原因にはなりません。 

なお、電子文書をプリントアウトし直接署名押印をした場合、その行為が文書の作成行為となりその紙面が課税対象となる可能性がありますのでご注意ください。署名押印等をしなければ、電子データの複製物(コピー)に過ぎないので課税対象にはなりません。 

 このように印紙税が不課税になる電子文書の活用ついては、印紙税以外にもたくさんのメリットがありますが、デメリットというか越えるべきハードルが多いです。主に活用できそうな文書について後編で確認していきます。 

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において行ってください。

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