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印紙税2020.11.19

印紙税の節約術まとめ(契約書作成前編)

印紙税の節約術まとめ(契約書作成前編)

目次

【はじめに】 

 年間を通すと大きな負担となってくる印紙税。昨日に引きつづき、本日は契約書を作成する前に工夫することで節約できそうな内容を複数紹介したいと思います。 

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。

国外で契約を締結する(作成場所) 

 印紙税法は国内法であるため、適用地域は日本国内に限定されています。そのため、課税文書を作成した時にその場所が日本国であれば、不課税文書として印紙税の課税対象となります。 

 つまり、その「文書の作成時」に国外にいればその文書は不課税となるのですが、「文書の作成時」とは、契約書の場合「意思の合致を証明した時」(印基通44②三)、すなわち契約当事者両者の署名押印が揃った時点を指します。そのため、契約当事者のうち、最後に署名押印した当事者が実際に国外にいた場合は、収入印紙を添付する必要ありません。 

 よって、外国法人と契約書を交わす際は、最終調印を国外にいる外国法人にしてもらうことで、印紙税は不課税となります。 

不要な文書は作成しない(コピーの活用ほか) 

(1)契約書のコピーを活用する 

 契約書は、契約当時者がそれぞれ契約内容の証明・主張を行うために、一方に原本、他方に副本として1通ずつ所持するのが一般的です。しかし、写し、副本、謄本等と表示された文書であっても、両者の署名押印がされ契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなものは印紙税の課税対象になります。 

 この点、契約書の原本をコピーしただけのものは、単なる写しにすぎず契約書には印紙税法上の契約書に該当しないため課税対象外となります。よって、契約当事者間でトラブルにならないような十分に信頼できる取引先や親子会社間、重要性が乏しい契約については、コピーのみで済ませる交渉を行うことで印紙税の節約に繋がります。 

 なお、単なるコピーであっても、それに直接署名・押印をすれば、契約書として効力を発揮して課税対象となりますのでご注意ください。また、契約書の正本に「本契約締結の証として原本を1通、写しを1通・・」といった記載をしてしまうと、写しも契約成立の証となり、課税対象となる可能性があるのでご注意ください。 

(2)仮契約書、予約契約書、仮領収書など「仮」となる文書を省略する 

 主に受注側の希望に応じて発注側が本契約前に作成する仮契約書等がありますが、「仮」であっても課税文書に該当する可能性があります。つまり、仮契約書と本契約書を作成した場合、その両方に課税される可能性があります。印紙税は文書の作成都度、名称問わずに内容判断し課税されるため、作成せざるを得ない場合を除き、「仮」となるような文書の作成は控えましょう。 

 なお、本契約書に契約金額を記載せずに、仮契約書の金額を引用した場合は、本契約は「記載金額がない」ものとなり、印紙税額を少額に抑えることができます。(2号文書の場合200円) 

収入印紙を金券ショップで購入する 

 収入印紙を購入する場合、通常であれば郵便局や法務局、一部のコンビニなどの印紙売りさばき所の指定を受けた店舗・窓口で購入するのが一般的ですが、金券ショップでも購入可能です。金券ショップでは、収入印紙も額面金額より概ね1-2%安い金額で販売されているため、その分お得に収入印紙を購入できます。 

 また、郵便局や法務局、印紙売りさばき所等で収入印紙を購入した場合、消費税は非課税ですが、金券ショップで購入した場合は消費税が課税されます。つまり、消費税の納税義務がある課税事業者については、金券ショップで収入印紙を購入すれば、その購入代金を課税仕入として計上できるため、消費税の納税額もお得になります。 

 なお、金券ショップでの購入は、在庫は需要が高い200円から400円のものが多いほか、偽造品が含まれているリスクもあるので、その点の留意が必要です。 

(参考)契約書は必ず両者が負担?

 たまに勘違いされている方がいらっしゃいますが、印紙税法上、契約書など文書の作成者(契約当事者)が複数いる場合、印紙税の負担はその誰が負担しても良いことになっています。 

印紙税法では契約当事者双方に納税義務が発生し、印紙税を連帯負担するという義務規定があるため、例えば、双方が1通ずつ契約書を所持している場合は、それぞれが所持する契約書に収入印紙を添付するが一般的です。 

 この連帯負担について、契約当事者の1人が全員分負担すれば、全員分の納税義務は消滅する(印基通47)と定められていることから、負担割合や按分方法等は当事者間の合意で問題ないと解釈できます

 

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