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西村雅史公認会計士税理士事務所 > ブログ > (税務相談)出向契約における子会社役員給与について 
法人税2020.11.25

(税務相談)出向契約における子会社役員給与について 

(税務相談)出向契約における子会社役員給与について 
A部長
A部長

当社の代表取締役は、出向元法人である親会社の使用人です。親会社とは出向契約を締結したうえで、弊社株主総会の決議において役員給与額を決議しております。なお、給与の支給は親会社から行われており、弊社は給与負担金という形で親会社に支払う形をとっております。

今回判明したのは、親会社で支払われている当該役員に対する給料(100万円)よりも株主総会で今回決議した給与負担額(120万円)のほうが大きくなっておりますが、こちらは税務上問題ございますでしょうか。

結論

役員に対して実際に親会社から支給されている給与(100万円)と、出向先法人で負担している給与(120万円)の差額(20万円)は税務上、損金の額に算入することはできません。

出向先法人の役員給与の決議方法

出向先法人の役員に対する給与が損金に算入するためには、以下の2つの要件をどちらも満たす必要あります(法基通9-2-46)

(1) 当該役員に係る給与負担金の額につき当該役員に対する給与として出向先法人の株主総会、社員総会又はこれらに準ずるものの決議がされていること

(2) 出向契約等において当該出向者に係る出向期間及び給与負担金の額があらかじめ定められていること

見落としがちな論点

上記の2つの要件をが満たしていることのみの確認で、子会社で支出する役員に対する給与負担金を損金算入している事例が散見されます。

注意しないといけないのは、法基通9-2-46(注)2の「出向先法人が給与負担金として支出した金額が出向元法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場その超える部分の金額については、出向先法人にとって給与負担金としての性格はないことに留意する」です。

つまり、親会社からの当該役員(親会社では使用人)の給与の額を常にウォッチする必要があるのです。実際に、役員の給与に関する情報ですので聞きにくい状況があったり、上場会社のグループ等では親会社・子会社の税理士も異なるケースも普通にあるため情報の連携がうまくできていないといったミスが起こりやすい論点の一つといえるでしょう。

参考条文

法基通9-2-46  出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い

出向者が出向先法人において役員となっている場合において、次のいずれにも該当するときは出向先法人が支出する当該役員に係る給与負担金の支出を出向先法人における当該役員に対する給与の支給として、法法34条《役員給与の損金不算入》の規定が適用される

(1) 当該役員に係る給与負担金の額につき当該役員に対する給与として出向先法人の株主総会、社員総会又はこれらに準ずるものの決議がされていること

(2) 出向契約等において当該出向者に係る出向期間及び給与負担金の額があらかじめ定められていること

(注)1 本文の取扱いの適用を受ける給与負担金についての同条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する届出は、出向先法人がその納税地の所轄税務署長にその出向契約等に基づき支出する給与負担金に係る定めの内容について行なうこととなる。

2 出向先法人が給与負担金として支出した金額が出向元法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場合その超える部分の金額については、出向先法人にとって給与負担金としての性格はないことに留意する。

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において行ってください。

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