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組織再編2020.11.15
(税務相談)子会社清算 株式追加取得した場合の留意点

目次

A部長
他社と50%ずつで保有している債務超過の会社を清算予定です。清算中の処理等を迅速に行いたいため、他社から1円等の価額で株式を取得して弊社100%状態にしてからの清算を予定しています。この際、税務上の留意点等ございますでしょうか。
※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。
完全支配関係がある場合
完全支配関係があり、残余財産を受けないことが確定した場合には、保有する株式の消滅損の損金算入が制限されています(法法第61条の2第17項)。
※条文の読み方(法法第61条の2第17項⇒同条第1項、2項)
譲渡額=譲渡原価となり、損失は発生しないという読み方となります。
繰越欠損金の制限
次に、支配関係が5年以上継続している場合については、完全子会社で使用することができなかった繰越欠損金は、親会社で引き継ぐことができます(法法第57条第2項、第3項)。
支配関係とは・・50%超の資本関係をいいます。
結論
ご質問のケースですと、5年以上の支配関係が継続していないため、繰越欠損金を引き継ぐことができずに、さらに完全支配関係があることで、保有する株式の消滅損の損金算入も制限されることとなります。
以上から、全ての株式は追加取得せずに清算し、株式消滅損を認識できるようにすることが望ましい対応と考えられます。
参考条文
法人税法第57条第2項、第3項
法人税法第61条の2第17項
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