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(税務相談)外国税額控除 租税条約の限度税率超過額

目次

弊社は、X国の会社に対して、ロイヤルティ(使用料)を受ける契約を締結予定です。X国とは租税条約に基づぎ一定の届出書を提出することにより源泉税の減免(30%→10%)を受けることができます。
弊社としては、源泉された税額は、そのまま外国税額控除を適用できるため、特に租税条約の届出を先方に求めることは考えておりませんが問題ありますでしょうか。
※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。
全てが外国税額控除の対象ではない?
外国税額控除の適用は、外国で支払う全ての税金が対象となるわけではありません。
対象となるのは、「控除対象外国法人税の額」と呼ばれる一定の税金に限られます(法法69条①)。
控除対象外国法人税額とは?
控除対象外国法人税額とは、「外国法人税」に該当し、一部の例外に該当しないものをいいます。
外国法人税(法令141条①、②)
1 外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税
2 外国又はその地方公共団体により課される次に掲げる税
一 超過利潤税その他法人の所得の特定の部分を課税標準として課される税
二 法人の所得又はその特定の部分を課税標準として課される税の附加税
三 法人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、法人の特定の所得につき、徴税上の便宜のため、所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの
四 法人の特定の所得につき、所得を課税標準とする税に代え、法人の収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課される税
<ポイント>
上記黄色ラインのとおり、源泉税額は、外国法人税に該当します。
以上から、外国税額控除の適用があると判断しそうになりますが、例外があります。
租税条約の限度税率
租税条約により、届出書の提出を行えば源泉税の免除や減免することが可能な場合があります。
これら届出書の提出により、減免された税率のことを「限度税率」といいます。
法人税法では、この限度税率を超える部分の金額については、外国法人税には含めないとされています(法令141③五)。
結論
ご質問のケースでは、このまま租税条約の届出書を提出しない場合には、限度税率を超える部分については外国税額控除の適用はありません。
そのため、先方相手方との関係性で可能であれば、できるだけ届出書の提出を依頼することが望ましいです。
なお、限度税率を超える外国税額控除受けることができない額については、債務が確定していますので、通常の損金として処理は可能です。
参考条文
法人税法施行令第141条 外国法人税の範囲(抜粋)
3 外国又はその地方公共団体により課される次に掲げる税は、外国法人税に含まれないものとする。
五 我が国が租税条約を締結している条約相手国等又は外国において課される外国法人税の額のうち、当該租税条約の規定により当該条約相手国等において課することができることとされる額を超える部分に相当する金額若しくは免除することとされる額に相当する金額又は当該外国において、同条第1号に規定する所得税等の非課税等に関する規定により当該外国に係る同法第2条第3号に規定する外国居住者等の同法第5条第1号に規定する対象国内源泉所得に対して所得税若しくは法人税を軽減し、若しくは課さないこととされる条件と同等の条件により軽減することとされる部分に相当する金額若しくは免除することとされる額に相当する金額