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(税務相談)棚卸資産の取得原価の範囲


弊社は高価な絵画等のアンティークを仕入れ、販売することを生業としておりますが、仕入れの際に支払う運賃等を現在は取得価額に含めて処理しております。商品が複数ある場合には、あん分計算等も行っており、非常に手間が掛かっているところ、運送費は取得価額の3%以下であれば一時の費用として処理できると聞きました。
棚卸資産の取得原価
棚卸資産の取得原価は、以下のものが含まれます(法令32条①)。
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額
例外・・ただし・・
購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した全ての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
【ポイント】
3%以内のもので取得価額に含めない(一時費用とする)ことができるのは、あくまで商品を仕入れた以後に発生する消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額であることに留意が必要です。
結論
以上のことから、絵画等を仕入れる際に発生する運賃等は、商品を仕入れる際に発生する費用であり、例え少額なもの(棚卸資産の購入代価のおおむね3%以内の金額)であったとしても、一時の費用とすることはできません。
参考条文
法令第32条 棚卸資産の取得価額(抜粋)
第28条第1項(棚卸資産の評価の方法)又は第28条の2第1項(棚卸資産の特別な評価の方法)の規定による棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額は、別段の定めがあるものを除き、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 購入した棚卸資産 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額
法基通5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額
購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した全ての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
法基通5-1-2 棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用
次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。
(1) 不動産取得税の額
(2) 地価税の額
(3) 固定資産税及び都市計画税の
(4) 特別土地保有税の額
(5) 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額
(6) 借入金の利子の額
※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において行ってください。