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(税務相談)リファラル採用時の課税関係について

目次
本日は少しマニアックな論点となりますが、徐々にその制度が浸透しつつある、新しい採用形態の「リファラル採用」について、税務上の論点と制度導入に際して注意する点をご紹介します。

来年度から、リファラル採用の導入を予定しているのですが、その際に紹介してくれた従業員に謝礼を支払う予定です。この謝礼に対して源泉税を徴収する必要はありますか?労働の対価ではない気がするので、迷っております。。
※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において各顧問税理士や税務当局にご確認頂き、行ってください。
リファラル採用とは?メリットは?
社員紹介採用(しゃいんしょうかいさいよう)は、企業が自社の社員に人材の紹介を受ける採用手法。別名、リファラルリクルーティング、リファラル採用。単にリファラル、紹介採用とも。企業側と人材側のミスマッチが起こりにくいため、比較的社員が定着しやすいとされる。
ウィキペディア(Wikipedia)より
【メリット】
離職率を下げる等のメリットは複数あると言われていますが、財務の面からは、採用コストを大幅に削減することができます。元々採用コストには、人材紹介会社に支払う成功報酬も含まれますが、年収の30%程度が相場となりますから、紹介してくれた従業員に謝礼を支払うとした場合にも大幅にコスト削減できます。
税務より先に検討しないといけないこと
リファラル採用の導入に際し、税法より前に「職業安定法」を確認する必要があります。同法14条において、リクルート活動(正式には”募集業務”)に対して報酬の支払は禁じられています。つまり何の手当もなく、紹介してくれた従業員に謝礼を支払った場合には法律違反となってしまうのです。
リファラル採用を導入するために必要なこと

それでは、この制度では紹介してくれた従業員に対して謝礼を支払うことはできないのでしょうか?
いえ、考え方と制度を変えれば、紹介してくれた従業員に謝礼を支払っても法律違反とはなりません。
そもそも知人を紹介するという行為自体を、労働の対価と考え、また給与規程もそれに応じた内容を追加することにより、職業安定法上の募集活動ではなく、通常の労働の対価とするのです。
従いまして、税務上は、労働の対価としている以上、給与所得に該当し源泉徴収の対象となります。