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補助金・助成金2021.04.21

【事業再構築補助金】事業計画書の作成ポイントまとめ

【事業再構築補助金】事業計画書の作成ポイントまとめ

はじめに

【事業再構築補助金】の申請上、最も重要となる事業計画について本日は解説していきます。公募要領上の事業計画書の説明は文字数も多く内容も複雑なため、途中で読むのを挫折するか、最後まで読めても結局どのように作成すれば良いか分からないといった感想をお持ちの方も多いと思います。本記事では、事業計画を作成する上で抑えなければならないキーポイントを強調し、全体が理解しやすいように編集しました。

なお【事業再構築補助金】の全体内容について、ご確認されたい方は下記のページをご参照ください。

事業計画書(全般的事項)

まずは全般的事項として下記の事項を確認します(特に難しいことは書いていません)。

事務局が別途公表する「電子申請システム操作マニュアル」の指示に従って、入力漏れがないよう、必要事項を入力の上、申請する。

申請の準備にあたっては、「電子申請入力項目」を参照し、入力が必要な項目を確認する。添付書類については、「ファイル名確認シート」を参照し、決められたファイル名にして提出する。

申請する事業再構築の類型について、事業再構築指針(※)との関連性を説明する。

(※)事業再構築指については、下記ページにフローチャート付で、事例と共に紹介していますのでご確認ください。

事業計画書(具体的事項)

さて、ここからが本番となります。事業計画は1~4の項目に従い作成しますが、作成する上で下記のポイントに留意して作成する必要があります。

事業計画書の作成においては、後述の「審査項目」を熟読の上で作成する必要あり

A4サイズで計15ページ以内で作成されることが推奨されている

1~4の項目の内容は下記のようにボリュームが多くなっておりますが、まずは赤字部分を抑えて、全体を通して見てみると理解しやすいです。

1:補助事業の具体的取組内容

現在の事業の状況強み・弱み、機会・脅威事業環境事業再構築の必要性事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載する。

事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定機械装置等の型番取得時期技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載する。※必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載する

② 応募申請する枠(通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠)と事業再構築の種類(「事業再編型」、「業態転換型」、「新分野展開型」、「事業転換型」、「業種転換型」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成する。どの種類の事業再構築の類型に応募するか、どの種類の再構築なのかについて、事業再構築指針とその手引きを確認して記載する。

③ 補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載する。

④ 既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載する。

2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)

① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザーマーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性課題リスクその解決方法などを記載す
(参考)経済産業省において、市場動向等を簡易に把握できる「統計分析ツール」を新たに開発、公開しています。鉱工業品約1,600品目を対象として、簡易な操作で生産動向等をグラフ化することができます。必要に応じて、自社の事業計画作成にご活用ください。
具体的な活用方法を分かりやすく解説する動画もあわせてご覧ください。
・統計分析ツール「グラレスタ」のURL:https://mirasapo-plus.go.jp/hint/14583/
・解説動画のURL:https://www.youtube.com/watch?v=eOJtZc2jTcE

② 本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載する。

③ 必要に応じて図表写真等を用い、具体的に記載する。

3:本事業で取得する主な資産

本事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、分類、取得予定価格等を記載する。(補助事業実施期間中に、別途、取得財産管理台帳を整備していただきます。)

4:収益計画

① 本事業の実施体制スケジュール資金調達計画等について具体的に記載する。

収益計画(表)における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載する。

③ 収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行う。

審査項目・加点項目

更に事業計画を作成するで、下記の審査項目・加点項目についても確認の必要があります。

※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件に合致することが確認できた場合にのみ加点されます。

(1)補助対象事業としての適格性

「4.補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額年率平均3.0%((【グローバル V 字回復枠】については 5.0%))以上の増加等を達成する取組みであるか。

(2)事業化点

① 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか

② 事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か市場ニーズの有無を検証できているか

③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か

④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

(3)再構築点

① 事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか

② 既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか

③ 市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか

④ 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か

(4)政策点

① 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか

② 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。

③ ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか

④ 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか

⑤ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか

(5)加点項目

【令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けた事業者に対する加点】
① 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していること。

② 上記①の条件を満たした上で、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ること。

提出方法・添付書類

事務局が別途公表する電子申請システム操作マニュアルの指示に従って、入力漏れがないよう、必要事項を入力の上、申請してください。申請の準備にあたっては、電子申請入力項目を参照し、入力が必要な項目をご確認ください。添付書類については、ファイル名確認シートを参照し、決められたファイル名にしてください。

基本的には電子での申請となりますが、下記については別途添付ファイルとして提出の必要があります。なお、通常枠で申請の事業者の方は①~⑤までのみの提出書類で構いません。

提出書類記載内容・注意点
① 事業計画書今まで見てきた事業計画です。
Word 等で作成の上、PDF 形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付(様式自由)。
※ 申請時点では、見積書等の取得価格の妥当性を証明できる書類の添付は必要ない(補助対象経費に計上する経費に該当する添付書類が揃っていれば、採択後速やかに交付決定の手続きに移行することができるため、入手価格の妥当性を証明できる書類は、極力早急に揃えることを推奨)
② 認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書 事業計画書の策定における認定経営革新等支援機関等の関与を確認するものです。必要事項が記載された電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付する。
補助金額3,000万円を超える事業計画書は金融機関及び認定経営革新等支援機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と共同で作成する必要があるため、それぞれに確認書を記載して添付が必要。
③ コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類【**】・申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高と、コロナ以前の同3か月の合計売上高確認できる資料法人:別表一、受信通知、概況書
事業や店舗ごとではなく、企業単位で合算した売上が減少している必要あり
主たる事業の他に副業等で得た売上についても合算して算出する
詳細は公募要領上の「売上高減少に係る証明について」を参照してください。
④ 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)2年分の提出ができない場合は、1期分の決算書(貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)を添付
決算書の添付ができない中小企業等は、事業計画書及び収支予算書を添付
製造原価報告書及び販売管理費明細は、従来から作成している場合のみ添付でOK
⑤ ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポ plus」(https://mirasapo-plus.go.jp/)の「電子申請サポート」で事業財務情報を作成の上、ブラウザの印刷機能で PDF 出力し、添付

その他、下記に該当する場合には追加の書類の提出が必要となります。

(卒業枠(グローバル展開を実施する場合に限る)・グローバルV字回復枠の場合)

⑥ 海外事業の準備状況を示す書類

(緊急事態宣言特別枠の場合)

⑦ 従業員数を示す書類

⑧ 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していることを証明する書類(令和3年の国による緊急事態宣言による影響を受けたことの誓約、売上高減少に係る証明書類)(緊急事態宣言特別枠で提出は【必須】となります)

⑨ 2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類(緊急事態宣言特別枠で提出は【任意】となります)

⑩ 審査における加点を希望する場合に必要な追加書類
・加点①: 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で30%以上減少していることを証明する書類
・加点②: 2021年1月~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類

 

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において行ってください。

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