BLOGブログ

西村雅史公認会計士税理士事務所 > ブログ > 【ものづくり補助金】2021年度公募要領まとめ~簡単解説~
補助金・助成金2021.04.22

【ものづくり補助金】2021年度公募要領まとめ~簡単解説~

【ものづくり補助金】2021年度公募要領まとめ~簡単解説~

ものづくり補助金とは?

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援することを目的として創設された補助金です。

また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換に向けた新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者に対して、通常枠とは別に、補助率を引き上げ、営業経費を補助対象とした「新特別枠」として低感染リスク型ビジネス枠を新たに設け、優先的に支援されています。

対象企業:中小企業、小規模企業者・小規模事業者

予算額:2,300億円

※ 令和2年度第三次補正予算額。令和1年度補正予算の3,600億円の予算措置あります。
※ 上記の予算額の中には、ものづくり補助金以外にも、持続化給付金、IT導入補助金の予算も含まれます。

なお、本記事は管理人の判断で公募要領の中から重要度が高いものや理解しやすいように一部を抽出し加工してまとめています。そのため情報の完全性は担保されておりませんので、詳しく確認されたい方は下記のサイトでのご参照をお願いします。

申請要件

申請要件
共通要件

以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明している

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加を達成する
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)

事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準を達成する

事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加を達成する

<補足事項>
☑ 事業計画は、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」を参考に策定する。
☑ 事業計画の策定に際して認定経営革新等支援機関の利用は必須ではない。
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
給与支給総額:全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等
☑ 被用者保険の任意適用とは、従業員規模51名~500名の企業が短時間労働者を厚生年金に加入させることを指します。
補助事業実施年度に新型コロナウイルス感染症の影響を受けることを想定して、上記の賃上げ及び付加価値額増加の目標を据え置きし、その翌年度から3~5年の間にこの目標値を達成する計画とすることが可能(詳細は事務局まで)
☑ グローバル展開型において海外子会社又は海外支店が主たる補助事業実施主体となる場合は、日本国内の本社に対して上記の要件が適用される。

応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有している

応募申請時点で建設中の場合や土地(場所)のみを確保して建設予定である場合は対象外

補助事業の実施場所が自社の所有地でない場合、賃借契約書等により使用権が明確であることが必要

新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)

低感染リスク型ビジネス枠については、補助対象経費全額が、以下のいずれかの要件に合致する投資である必要があります。

物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
(例:AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作や自動制御等の機能を有する製品開発(部品開発を含む)、オンラインビジネスへの転換等)

物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
(例:ロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築等)

ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな寄与が見込まれない機器の購入は、原則として、補助対象経費外

グローバル展開型

グローバル展開型については、以下のいずれか一つの類型の各条件を満たす必要があります(※詳しくは公募要領でご確認下さい)。

①類型:海外直接投資②類型:海外市場開拓③類型:インバウンド市場開拓④類型:海外事業者との共同事業

注意事項

✅ 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明することが必要です。交付後に表明していないことが発覚した場合は、補助金額の返還が求められます。

給与支給総額の増加目標が未達の場合

導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)返還を求められます。

ただし、給与支給総額の年率増加率平均 >「付加価値額の年率増加率平均/2」の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求められません。

また、給与支給総額を用いることが適切ではないと解される特別な事情がある場合には、給与支給総額増加率に代えて、一人当たり賃金の増加率を用いることが認められます

事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合

補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求められます。

ただし、付加価値額増加率が年率平均1.5%に達しない場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。

✅ 同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている案件はNG(50%超の議決権を有する子会社は同一法人とみなされる

補助額・補助率

補助上限額は、一般型グローバル展開型の2種類があり、それぞれの類型で中小企業小規模企業者・小規模事業者(一般型の場合には+低感染リスク型ビジネス枠)の異なる枠があります。

【一般型】

項 目要 件
概要中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・
サービス提供方法の改善
」に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額100万円1,000万円
補助率[通常枠] 中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3
[低感染リスク型ビジネス枠特別枠] 2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要
補助対象経費[通常枠] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、
クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

[低感染リスク型ビジネス枠] 上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費

【グローバル展開型】

項 目要 件
概要中小企業者等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サー
ビス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・
システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド
市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)
補助金額1,000万円3,000万円
補助率中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要
補助対象経費機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサ
ービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費
その他

申請後の事業類型の変更はNG

小規模企業者・小規模事業者以下の会社又は個人事業主が該当

常勤従業員数が、製造業その他業種・宿泊業・娯楽業:20人以下卸売業・小売業・サービス業では5人以下

※なお、採択後に小規模企業者・小規模事業者の定義からはずれた場合は、補助率が変更とされます。確定検査において労働者名簿等が確認されますので、人数の変更があった場合は補助率が2/3から1/2への計画変更とされます。特定非営利活動法人は、従業員が20人以下の場合、補助率が2/3になります。

低感染リスク型ビジネス枠で不採択の場合、通常枠で再審査が行われる

中小企業者とは?

中小企業者の定義は以下の通りです。

※補助対象者の要件は、本事業の公募開始日において満たしている必要があります。また、事業実施期間に限って、資本金の減資や従業員数の削減を行い、事業実施期間終了後に、再度、資本金の増資や従業員数の増員を行うなど、専ら本事業の対象事業者となることを目的として、資本金、従業員数、株式保有割合等を変更していると認められた場合には、申請時点にさかのぼって本事業の補助の対象外となる場合があります。

中小企業者(組合関連以外)

資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。

業種資本金従業員数
(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに

工業用ベルト製造業を除く)
3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

※1 資本金は、資本の額又は出資の総額をいいます。
※2 常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第 20 条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2 か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に 4 か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません(以下同様)。。

次の(1)~(5)のいずれかに該当する者は、大企業とみなして中小企業者から除きますみなし大企業
(1)発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上同一の大企業が所有
(2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上大企業が所有
(3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている
(4)発行済株式の総数又は出資価格の総額(1)~(3)に該当する中小企業者が所有
(5)(1)~(3)に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている
(6)公募開始時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える

※1 大企業とは、中小企業基本法に規定する中小企業者以外の者であり、資本金及び従業員数がともに上表の数字を超える場合、大企業に該当します。また、自治体等の公的機関に関しても大企業とみなします。ただし、以下が株式を保有する場合は、その保有比率等をもって上記のみなし大企業の規程を適用しません。
・中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
・投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合
※2 本条件の適用は、補助事業実施期間中にも及びます。

中小企業者(組合関連)

対象:企業組合、協業組合等又は商工組合等

特定非営利活動法人

広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人

従業員数:300人以下

※法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34業種)を行う特定非営利活動法人
※認定特定非営利活動法人ではない
※交付決定時までに補助金の事業に係る経営力向上計画の認定を受けている

補助対象経費

今回の補助金の対象となる経費は、下記のように幅広く様々なものが認められています。

対象
機械装置・
システム構築費
      
① 機械装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
② 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、リース・レンタル経費
③ ①又は②と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

※1 生産性向上に必要な、防災性能の優れた生産設備等を補助対象経費に含めることは可能です。
※2 機械装置又は自社により機械装置を製作する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となります。
※3 リース・レンタル費用は、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業期間中に要する経費のみが対象となります。
※4 「改良・修繕」とは、本事業(令和元年度補正事業)で購入した機械設備の機能を高め又は耐久性を増すために行うものです。
※5 「据付け」とは、本事業(令和元年度補正事業)で購入した機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限ります。設置場所の整備工事や基礎工事は含みません。
※6 本事業で購入する機械装置等を担保に金融機関から借入を行う場合は、事務局への事前申請が必要です。さらに、担保権実行時には国庫納付が必要です。
※7 3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。
※8 グローバル展開型において、海外子会社が主たる補助事業実施主体となる場合に限り、本事業で購入した機械装置等について貸与の契約を締結した上で、海外子会社に貸与することも可能です。ただし、海外子会社への貸与価格が市場価格から乖離している場合など、取引形態によっては移転価格税制等の税制上の検討が必要な場合がありますので、ご注意ください。
技術導入費知的財産権等の導入に要する経費
※1 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となります。
※2 技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことはできません
専門家経費本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
※1 本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができます(※2の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円が上限となります))
※2 専門家の謝金単価は以下の通りとします(消費税抜き)。
・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
・准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下
※3 旅費は、全国中小企業団体中央会がが定める「旅費支給に関する基準」のとおりとします。
※4 専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することはできません。
※5 応募申請時に事業計画書の作成を支援した者は専門家経費の補助対象外とします。
運搬費運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
購入時の機械装置の運搬料については、機械装置費に含めることとします。
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に関する経費
※1 自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません
※2 サーバーの領域を借りる費用、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となりますサーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象になりません
※3 サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。
※4 クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となります(例:ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)。ただし、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が対象です。 また、パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象となりません
原材料費試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
※1 購入する原材料等の数量は必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ることを原則とします。補助事業終了時点での未使用残存品は補助対象となりません。
※2 原材料費を補助対象経費として計上する場合は、受払簿(任意様式)を作成し、その受払いを明確にするとともに、試作・開発等の途上において発生した仕損じ品やテストピース等を保管(保管が困難なものは写真撮影による代用も可)しておく必要があります。
外注費

※上限額
=補助対象経費総額(税抜き)の2分の1
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
※1 外注先が機械装置等の設備を購入する費用は対象になりません
※2 外注先との書面による契約の締結が必要です。
※3 機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上。
※4 外注先に、技術導入費、専門家経費を併せて支払うことはできません
※5 グローバル展開型において、海外子会社が主たる補助事業実施主体となる場合に限り、本事業の補助対象経費の区分に該当する費用において、経費総額の過半を海外子会社に外注することが可能です。ただし、海外子会社への外注価格が当該業務委託の市場価格から乖離している場合など、取引形態によっては移転価格税制等の税制上の検討が必要な場合がありますので、ご注意ください。
知的財産権等関連経費

※上限額
=補助対象経費総額(税抜き)の3分の1
新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
※1 本事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象になりません。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は、補助対象になりません
※2 知的財産権の取得に要する経費のうち、以下の経費については、補助対象になりません。
・日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)
・拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費
※3 国際規格認証の取得に係る経費については補助対象になります。
※4 本事業で発生した知的財産権の権利は、事業者に帰属します
海外旅費
グローバル展開型のみ

※上限額
=補助対象経費総額(税抜き)の5分の1
海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費
※1 旅費は、全国中小企業団体中央会が定める「旅費支給に関する基準」の通りとします。
※2 国内旅費や本事業と無関係な海外旅費は、補助対象になりません。交付申請時に、海外渡航の計画を予め申請いただくことが必要です。
※3 一度の渡航に随行できるのは、専門家含め2名までとします。
広告宣伝・販売促進費
低感染リスク型ビジネス枠のみ
※上限額
=補助対象経費総額(税抜き)の3分の1
本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
※1 補助事業以外の自社の製品等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外です。
※2 補助事業期間内に広告が使用・掲載されること、展示会が開催されることが必要です
※3 出張旅費や交際費は補助対象となりません。
注意点

① 本事業では、設備投資が必要です。設備投資は、必ず単価50万円(税抜き)以上の機械装置等を取得して納品・検収等を行い、補助事業者として適切に管理を行う必要があります。「機械装置・システム構築費(海外子会社への外注費における機械装置・システム構築費にあたる経費を含む)」以外の経費は、総額で500万円(税抜き)までを補助上限額となります(グローバル展開型の場合は、1,000万円(税抜き)まで)。

➁ 補助対象経費は、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります。支払いは、銀行振込の実績で確認を行います(手形払等で実績を確認できないものは対象外)。

➂ 採択後、交付申請手続きの際には、本事業における発注先の選定にあたって、入手価格の妥当性を証明できるよう見積書を取得する必要があります。また、単価50万円(税抜き)以上の物件等については原則として2社以上から同一条件による見積をとることが必要です。ただし、発注内容の性質上2社以上から見積をとることが困難な場合は、該当する企業等を随意の契約先とすることができます。その場合、該当企業等を随意契約の対象とする理由書が必要となります。

④ 補助金交付申請額の算定段階において、消費税等は補助対象経費から除外して算定する。

下記のように、補助事業と直接関係していない諸経費や汎用性の高いモノは対象外とされます。

対象

➢ 補助事業期間中の販売を目的とした製品、商品等の生産に係る機械装置・システム構築費以外の諸経費(テスト販売を除く)
工場建屋、構築物、簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)の取得費用、およびこれらを作り上げるための組み立て用部材の取得費用
➢ 設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用
事務所等にかかる家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
➢ 電話代、インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く)
➢ 商品券等の金券
➢ 文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
➢ 飲食、奢侈、娯楽、接待等の費用
不動産の購入費、自動車等車両(事業所や作業所内のみで走行し、自動車登録番号がなく、公道を自走することができないものを除く)の購入費・修理費・車検費用
税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のための弁護士費用
➢ 収入印紙
➢ 振込等手数料(代引手数料を含む)及び両替手数料
➢ 公租公課(消費税及び地方消費税額(以下「消費税等」という)等)
➢ 各種保険料
➢ 借入金などの支払利息及び遅延損害金
➢ 補助金事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・送付に係る費用
汎用性があり、目的外使用になり得るもの(例えば、事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン及びデジタル複合機など)の購入費
➢ 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費(3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合等を除く)
➢ 事業にかかる自社の人件費(ソフトウェア開発等)
➢ 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費

事業計画(具体的事項)

事業計画は1~3の項目に従い作成しますが、作成する上で下記のポイントに留意して作成する必要があります。

事業計画書の作成においては、後述の「審査項目」を熟読の上で作成する必要あり

A4サイズで計10ページ以内で作成されることが推奨されている

1~3の項目の内容は下記のようにボリュームが多くなっておりますが、まずは赤字部分を抑えて、全体を通して見てみると理解しやすいです。

1:補助事業の具体的取組内容

① 本事業の目的・手段について、今までの自社での取組みの経緯・内容をはじめ、今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を示してください。また、課題を解決するため、不可欠な工程ごとの開発内容材料や機械装置等を明確にしながら、具体的な目標及びその具体的な達成手段を記載する(必要に応じて図表写真等を用い具体的かつ詳細に記載する)。事業期間内に投資する機械装置等の型番、取得時期や技術の導入時期についての詳細なスケジュールの記載が必要となります。

応募申請する事業分野(「試作品開発・生産プロセス改善」又は「サービス開発・新提供方式導入」)に応じて、事業計画と「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」又は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を説明する。

③ 本事業を行うことによって、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明する。

2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)

① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載する。

② 本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載する。

③ 必要に応じて図表や写真等を用い、具体的かつ詳細に記載する。

3:会社全体の事業計画

① 会社全体の事業計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」等の算出については、算出根拠を記載する。

② 本事業計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行う。

審査項目・加点、減点項目

更に事業計画を作成するで、下記の審査項目・加点・減点項目についても確認の必要があります。

(1)補助対象事業としての適格性

申請要件を満たすか。3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組みであるか。

(2)技術面

① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか(グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか)。

② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか

(3)事業化面

① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか(グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか)。

② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。

③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か

④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか

(4)政策点

地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか(グローバル展開型では、事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか)。

ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

③ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

④ 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。

⑤感染拡大を抑えながら経済の持ち直しを図り、ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現させるために有効な投資内容となっているか[低感染リスク型ビジネス枠のみ]

(5)加点項目

① 成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」

② 政策加点:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)

③ 災害等加点:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」

賃上げ加点等:

④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」

④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合

※ 最大5項目の加点が可能(添付書類点数は最大4点)。
※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件に合致した場合にのみ加点されます。

(5)減点項目

過去3年間に、類似の補助金※の交付決定を受けていた場合、交付決定の回数に応じて減点。

※ 平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業、平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業。

提出方法・添付書類

事務局が別途公表する電子申請システム操作マニュアルの指示に従って、入力漏れがないよう、必要事項を入力の上、申請してください。申請の準備にあたっては、【参考様式1・2】を参照し、入力が必要な項目をご確認ください。添付書類については、ファイル名確認シートを参照し、決められたファイル名にしてください。

基本的には電子での申請となりますが、下記については別途添付ファイルとして提出の必要があります。

提出書類記載内容・注意点
① 事業計画書     今まで見てきた事業計画です。
Word 等で作成の上、PDF 形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付(様式自由)。
※ 申請時点では、見積書等の取得価格の妥当性を証明できる書類の添付は必要ない(補助対象経費に計上する経費に該当する添付書類が揃っていれば、採択後速やかに交付決定の手続きに移行することができるため、入手価格の妥当性を証明できる書類は、極力早急に揃えることを推奨)
② 賃金引上げ計画を従業員に表明したことを示す書類 【様式1】(Excelファイル)を用いて、申請時点の直近月の事業場内最低賃金及び直近決算における給与支給総額が明記され、これを引き上げる計画に対して従業員代表者(給与・経理担当、事業場内最低賃金で働く従業員等を含む)が合意していることが分かる書面を提出してください。賃金引上げ幅の大きい事業者は、本資料を元に加点措置を講じます。
➂ 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)          ※ 2年分の提出ができない場合は、1期分の決算書(貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)を添付
※ 決算書の添付ができない中小企業等は、事業計画書及び収支予算書を添付
製造原価報告書及び販売管理費明細は、従来から作成している場合のみ添付でOK
④ 審査における加点を希望する場合に必要な追加書類・成長性加点:経営革新計画承認書※(当該計画の写しを含む)
・政策加点:開業届又は履歴事項全部証明書(創業・第二創業の場合)
・災害等加点:(連携)事業継続力強化計画認定書※(当該計画の写しを含む)
・賃上げ加点:特定適用事業所該当通知書(被用者保険の適用拡大の場合)

※ 法令に基づく各種取得計画について、申請締切日時点で認定(承認)を受けた計画期間が終了していない場合又は、それぞれ指定された経済産業局・都道府県等に電子申請済み又は申請書を郵送済み(締切日の消印有効)の場合は加点対象となります(記載後、実際に申請書を郵送せず手元に保管されている場合等は、「申請中」とはなりません)。「申請中」の場合、交付決定を受けるためには、認定(承認)後に速やかに認定(承認)通知書の写し及び認定を取得した当該計画の写しの提出が必要です。計画申請を当補助事業への応募時点で行っていなかったことが判明した場合、採択を取り消しますのでご注意ください(経済産業局等から袋とじ状で返送される認定通知書及び認定申請書には、経済産業局等が当該申請の消印日等が分かる受理印が押印されています)。

海外事業の準備状況を示す書類(グローバル展開型のみ)

・①類型(海外直接投資):海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料
・②類型(海外市場開拓):具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書※
・③類型(インバウンド市場開拓):具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書※
・④類型(海外事業者との共同事業):共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)
※1 ①の事業の具体的な内容等とは別に、Word 等で作成の上、PDF 形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付してください(様式自由、ページ数の制限なし)。
※2 ④類型の各契約書を除き、提出資料は日本語で作成されたもの、もしくは日本語訳をおつけいただいたものに限ります。
※3 申請類型以外の類型に関する資料についても、添付のあったものについては、審査の対象といたします。

GビズIDプライム

事業再構築補助金の申請は申請は全て電子申請となりますので、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。必要なGビズIDプライムの発行には、申請から通常2~3週間要します。本補助金のご活用をお考えの方は、事前のID取得をお勧めします。

GビズIDプライムアカウントは、以下のホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成することができます。

なお、第1回目の公募分については、今回の補助金により申込みが殺到しており、GビズIDプライムアカウントの発行までの期間が3週間以上となっていることから、早期の発行が可能な「暫定GビズIDプライムアカウント」の付与によって応募申請を可能とする運用となっています。

※採択公表後の交付申請の受付(令和3年6月上旬以降を予定)以降の手続きでは、通常の「GビズIDプライムアカウント」が必須となります。

スケジュール

公募スケジュール

令和3年度中に複数回の公募が予定されています。第1回目のスケジュールは下記のとおりです。

第1回目公募スケジュール

公募開始:令和3年2月22日(月) 17時~

申請受付:令和3年4月15日(木) 17時~

応募締切:令和3年5月13日(木) 17時

採択発表:令和3年6月末

補助事業実施期間
類型補助実施期間
一般型交付決定日から10ヶ月以内(ただし、採択発表日から12ヶ月後の日まで)
グローバル展開型交付決定日から12ヶ月以内(ただし、採択発表日から14ヶ月後の日まで)

採択後の手続き

採択後、補助対象経費を精査し、補助金の交付申請手続きを行う必要があります(詳細な手続きは採択者向けに改めて連絡されます)。この際、受給できる補助金額が減額する場合があります。また、補助事業実施場所を変更することは原則認められていません。

本補助金のうち固定資産の取得に充てるための補助金については、圧縮記帳が認められます。

事業資金の調達については、つなぎ融資(①ものづくり補助金対応POファイナンス※1、②交付決定債権譲渡※2) や概算払いを利用することが可能です

※1 本補助金の交付決定通知を電子記録債権化し、これを譲渡担保として金融機関から融資を受けられるサービス。
※2 本補助金の交付決定債権を金融機関等に譲渡し、譲渡債権の対価として資金を調達する手法

※内容は、執筆現在当時の法令等に基づいております。文中の税法の解釈等見解にわたる部分は、執筆者の私見ですので、実際の申告等税法の解釈適用に当たっては、ご本人の責任において行ってください。

シェアする

ニッシー@税理士をフォローする

関連記事

お気軽にお問合せ・
ご相談ください